不動産を売却すると、購入した方に贈与税が課されることがあります。
贈与税はどのような不動産売却でも発生するわけではないものの、特定のケースでは注意が必要です。
今回は、贈与税とは何か、不動産売却で贈与税が必要なケースや贈与税を軽減する方法について解説します。
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不動産売却にも関係する?贈与税とはどのような税金なのか
贈与税とは、財産を贈与したときにその財産の価値に応じて課される税金のことです。
財産のやりとりには贈与のほかに譲渡もありますが、税制上贈与と譲渡は区別されています。
贈与と譲渡の違い
贈与とは、現金や不動産などの財産を無償で自分以外の方に贈る行為のことです。
一方で、譲渡は財産をその価値に応じた対価を受け取ったうえで譲り渡す行為になります。
つまり、贈与と譲渡では財産を渡す際に渡される側からの対価が発生するかどうかの違いがあるのです。
贈与をおこなうと贈与税が発生しますが、譲渡をおこなうと譲渡所得税と呼ばれる別の税金が発生します。
不動産売却は譲渡にあたるため、通常は売主に対して課される譲渡所得税の対象です。
しかし、不動産売却が贈与と見なされるケースでは買主の方に贈与税が課されることもあります。
贈与税は受け取った側が負担する
贈与税を負担するのは、財産を贈った側ではなく受け取った側です。
したがって、不動産売却によって贈与税が発生するケースでは買主の方が贈与税を支払います。
贈与税は年間110万円まで非課税にできますが、不動産の価値が110万円を下回るケースは稀です。
暦年課税と相続時精算課税とは
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2種類の課税方法があります。
暦年課税とは、年間の基礎控除額110万円を上回る贈与があったときにその年ごとに課される贈与税です。
暦年課税では、贈与された財産の価値が高いほど贈与税の税率が高くなります。
このような課税方法を累進課税と呼び、贈与税は通常の一般税率と直系尊属による贈与に適用される特例税率に分けられているのが特徴です。
相続時精算課税とは、特定の条件下で一時的に贈与税を非課税にし、相続が発生したときに相続税とともに精算する課税方法です。
相続時精算課税を選択できるのは一定の要件を満たした関係性にあるケースのみであるため、一般的には暦年課税によって贈与税が課されるでしょう。
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不動産売却で贈与税が課されるケース
不動産売却の際は、通常売主の方に譲渡所得税が課されることはあっても買主の方に贈与税は課されません。
しかし、特定の条件下でその不動産売却が「贈与」と見なされると、贈与税の課税対象になることがあります。
贈与税の課税対象になりやすいのは、親族間における取引や法人間における取引のケースです。
親族間取引が贈与と見なされるケース
親族間での不動産売却は、状況によっては贈与と見なされる可能性があります。
親子やきょうだいなど、親族間で不動産を売却する際に、相場よりも著しく低い価格で譲渡すると贈与になる可能性が高いです。
親から子に土地を売却する際、本来1,000万円が相場のところを100万円で譲渡したケースなどが当てはまります。
このようなケースでは、売買契約を結んでいても贈与と見なされてしまうため注意が必要です。
親族間の取引は税務署にマークされているため、適正価格での取引をおこなって贈与と見なされるのを防ぐ必要があります。
法人間取引が贈与と見なされるケース
個人間での不動産売却だけでなく、法人同士の取引が贈与と見なされるケースもあります。
とくに、親会社と子会社など関係会社間で取引をおこなうと贈与と見なされる可能性が高いです。
また、法人の代表者と法人の間での不動産売却でも、贈与と見なされて贈与税が課されることがあります。
相場に近い適正価格での譲渡であれば贈与と見なされることはないため、売却時の価格設定に注意しなければなりません。
売却価格に注意
不動産売却の際、贈与と見なされるのは相場価格よりも低額での譲渡になります。
相場に近い適正価格での売却であれば、親族間や法人間の譲渡であっても贈与税の対象になることはほとんどありません。
一方で、密接な関係性だからと言って便宜を図って価格を下げすぎると、贈与と見なされる可能性が高まります。
税務署は不動産の売却価格を登記簿謄本や確定申告によって把握しているため、基本的に贈与と見なされると贈与税を免れる術はありません。
親族間や法人間、法人と代表者などの不動産売却については低額譲渡が起きやすいため、税務署も目を光らせています。
密接な関係性にあるからこそ、贈与税による負担を軽減するためにも適切な価格での不動産売却の取引が重要です。
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不動産売却における贈与税を軽減する方法
不動産売却において発生する贈与税を軽減するためには、そもそも適正価格での譲渡を心がけることが大切です。
低額での譲渡でなければ、贈与とは見なされないため贈与税自体が発生しません。
しかし、相手との関係性によっては適正価格での譲渡をためらうこともあるでしょう。
そのようなケースでは、税金の仕組みや制度を活用して贈与税を軽減するのがおすすめです。
毎年110万円以内の贈与で税金を軽減する
贈与税を軽減しつつ、なるべく安価に不動産を譲渡したいのであれば毎年110万円までの贈与をおこなう方法があります。
暦年課税であれば、毎年110万円までの贈与は非課税になるため、不動産の適正価格までの金額を積み立てる形での贈与が可能です。
ただし、毎年同じ金額を贈与していると定額贈与と見なされ、贈与税の課税対象になる可能性があります。
定額贈与になるのを防ぐには、毎回贈与する金額を変えて同じ金額にならないよう気を付ける必要があるでしょう。
さらに、贈与契約書を毎回作成する、贈与の時期を変えるなど、いくつか工夫をおこなうと定額贈与と見なされにくいです。
どのようなケースが定額贈与と見なされやすいかは税務署の判断にもよるため注意しましょう。
相続時精算課税制度を活用して税金を軽減する
贈与税を軽減しつつ不動産を贈与したいのであれば、相続時精算課税制度を活用する方法もあります。
相続時精算課税制度は、贈与税が課税される財産2,500万円までを非課税にし、贈与税の支払いを相続時まで先送りにできる制度です。
先送りされた贈与税は、相続時に相続税と合算で納める必要があります。
一方で、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があるため、この範囲内に合算された金額が収まるようであればお得です。
相続時精算課税制度を利用するためには、贈与をした年の1月1日時点で60歳以上の直系尊属から、20歳以上の直系卑属に対しておこなわれる贈与である必要があります。
また、贈与を受ける側は贈与する方が亡くなったときに相続人になる予定の方でなければなりません。
そのほかの利用可能な制度
相手との関係性次第では、贈与税を軽減するためにほかにも活用できる制度がある可能性があります。
不動産を贈与する相手が婚姻期間20年以上の配偶者であれば、贈与税の配偶者特例を利用可能です。
贈与税の配偶者特例を利用すれば、マイホームそのものやマイホームの取得にかかる費用を2,000万円まで非課税にできます。
ほかにも、18歳以上の方が直系尊属からマイホーム購入のための資金を贈与されるときは、住宅取得等資金の贈与の特例を利用可能です。
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まとめ
贈与税は、財産を無償で譲ったときに譲られた側が支払う税金のことです。
特定の間柄において、相場よりも低い金額での不動産売却をおこなうと贈与と見なされ、贈与税が課されることがあります。
贈与税を軽減したいのであれば、基礎控除などの仕組みや制度を活用すると良いでしょう。
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