住宅ローンを利用して購入した不動産に付けられる「抵当権」はご存じの方が多いですが、「根抵当権」については聞いたことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
根抵当権付きの不動産を売却する場合は、通常の不動産売却とは手続きの流れが異なるうえに、通常の抵当権なら問題にならないことにも注意が必要です。
そこで今回は、根抵当権の特徴や売却時の流れ、注意点について解説します。
根抵当権付きの不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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不動産を売却する際に知っておくべき根抵当権の特徴
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、その不動産には金融機関が「抵当権」を付けます。
そして抵当権は、住宅ローンを完済したときに消失します。
しかし根抵当権の場合、借入金を完済しているのに残ったままになっていることも珍しくありません。
その場合は、不動産の売却がスムーズに進まないことが多いため、事前に手続きの流れを把握しておく必要があります。
しかし冒頭でもお伝えしたように、根抵当権とはどういうものなのか、知らない方もいらっしゃるでしょう。
そこでまずは、根抵当権とはなにか、その特徴について解説します。
根抵当権の4つの特徴
根抵当権の主な特徴として以下の4つが挙げられます。
●担保する債権が特定されない
●極度額の範囲内であれば繰り返し借入できる
●完済しても消失しない
●抹消する場合は債権者の同意が必要
抵当権の場合、金融機関は不動産を担保にして融資をおこない、万が一債務者が返済できなくなった場合は、金融機関は不動産を差し押さえ、競売で売却してお金を回収します。
一方、根抵当権の場合は、債権をその不動産に特定するのではなく、不動産の担保価値を算出して、融資できる限度額を決めます。
そして、債務者はその範囲内で繰り返し何度でもお金を借りることができるのです。
また抵当権は、住宅ローンを完済すれば、消失します。
しかし、根抵当権では、債権がゼロになっても消失せず、不動産にそのまま残ります。
さらに、根抵当権を抹消したい場合は、金融機関の同意が必要です。
事業者の運転資金に用いるのが一般的
抵当権は、完済したら抵当権抹消登記をおこなう必要があります。
また、抵当権付きの不動産を担保にして新たに借入をおこないたい場合は、その融資ごとに抵当権の設定登記をしなければなりません。
その都度、登記費用もかかります。
しかし、根抵当権であれば、限度額内で借入や返済を自由におこなえるため、登記の手間と費用が省けます。
したがって、繰り返し融資を受ける可能性がある事業者が、運転資金としてお金が必要な場合に利用するのが一般的です。
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根抵当権付きの不動産を売却する際の流れ
根抵当権付きの不動産を売却することは可能ですが、根抵当権が付いたまま購入したいと考える買主はほぼいません。
したがって、売却する場合は根抵当権を外す必要があるため、通常の不動産売却とは流れが異なります。
抵当権付きの不動産の売却は、以下のような流れでおこなうのが一般的です。
●査定依頼と残債額を確認する
●金融機関と交渉する
●元本を確定する
●不動産を売却する
それぞれの手順について順番に解説します。
査定依頼と残債額を確認する
残債務がある不動産を売却するためには、残債務を自己資金で完済する、もしくは売却代金を返済に充てる必要があります。
売却代金と残債額の状況によって売却方法が異なるため、まずは不動産がいくらで売却できるのかを知るために、残債額を確認するとともに不動産会社に査定を依頼します。
金融機関と交渉する
根抵当権付きの不動産を売却するためには、根抵当権を抹消する必要があります。
根抵当権の抹消には金融機関の同意が必要ですが、根抵当権による融資は、金融機関にとって利益を上げやすいため、スムーズに同意してもらえないかもしれません。
しかし、同意を得ないと売却できないため、粘り強く交渉することが大切です。
なお、売却代金で完済できる「アンダーローン」の場合は、通常の方法で売却できます。
しかし、売却代金で完済できない「オーバーローン」の場合は、任意売却をおこなう必要があります。
任意売却の場合、売却後も債務が残るのが一般的です。
残った債務については、金融機関と交渉をおこなったうえで、分割で返済していく流れになります。
元本を確定する
元本確定とは、借入や返済をストップし、根抵当権で担保される債権を、その時点での残債務に限定することです。
つまり、「この金額を返済すれば根抵当権が消滅する」という金額を決めるのです。
元本確定後、根抵当権は消滅し、通常の抵当権になります。
不動産を売却する
金融機関の同意を得たうえで、不動産を売却します。
売却活動をおこない、買主が見つかったら、根抵当権の抹消登記をおこないます。
根抵当権抹消登記は個人でおこなうことも可能ですが、その場合、書類の不備があるなどスムーズに手続きできないことも少なくありません。
したがって、登記手続きは司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士に依頼する場合、1万円~3万円ほど費用がかかります。
また、登記手続きには時間がかかるため、売却することが決まったら早めに書類を準備するなど、余裕を持って進めることが大切です。
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根抵当権付きの不動産を売却する場合の注意点
根抵当権付きの不動産は、金融機関の同意を得たうえで元本を確定したのち売却できることを前章で解説しましたが、注意すべき点があれば事前に知っておきたいですよね。
そこで最後に、根抵当権付きの不動産を売却するうえでの注意点について解説します。
注意点1:所有者と債権者が異なる場合のトラブル
不動産の所有者と債務者は同じであることがほとんどですが、まれに異なるケースがあります。
その場合、所有者が知らないうちに借金が増えていたということが起こるかもしれません。
そうなると、不動産を売却したとしても借金を返済できない事態に陥る可能性があります。
不動産と借入の名義が異なると、トラブルが起こる場合があるため注意が必要です。
注意点2:元本確定後は元に戻せない
根抵当権は、元本を確定することで、通常の抵当権に変わり、元には戻せません。
そして、抵当権は債務を完済すれば消失します。
つまり、根抵当権のときのように、繰り返し借入をおこなうことができなくなるのです。
根抵当権は、多くの場合、運転資金としての融資を希望する事業者が利用する抵当権です。
たとえば、相続した不動産が根抵当権付きで、親から事業を受け継いだ場合、事業を継続するためにまとまった資金が必要になるかもしれません。
したがって、再度融資を受ける可能性がある場合は、根抵当権の抹消について慎重に判断する必要があります。
注意点3:登記簿上の抵当権は自動的に消えない
根抵当権から抵当権に変わり、債務を完済すると、債権者が設定した抵当権は消失します。
しかし登記簿にも抵当権について記載されており、これは債務を完済しても自動的に消えるわけではありません。
したがって、債務を完済して抵当権が消失したら、登記簿上の抵当権を抹消する手続きも早めにおこなうように注意が必要です。
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まとめ
不動産に根抵当権が付いている場合、限度額の範囲内であれば繰り返し融資を受けることができます。
しかし、その不動産を売却したい場合、根抵当権が付いていると買主が見つかる可能性が低くなります。
したがって、事業資金などの借入をおこなう可能性がないのであれば、金融機関の同意を得たうえで元本を確定し、早めに根抵当権を抹消することが大切です。
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