近年増加している空き家には、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
空き家の種類や増加のデータを理解し、適切な活用方法を検討することで、空き家を有効活用する手段が見えてくるでしょう。
この記事では、空き家の種類や国の対策、そして放置によるリスクについて解説します。
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空き家の種類とその割合とは?
日本の空き家は4つの種類に分類され、それぞれに異なる特徴があります。
まずは、それぞれの空き家の定義と全体に占める割合を解説します。
空き家の種類①賃貸用の住宅
賃貸用住宅とは、賃貸を目的として空いている住宅であり、新築・中古を問わず含まれます。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査特別集計」によると、賃貸用の空き家は全体の49.2%を占めており、もっとも高い割合です。
空き家の種類②売却用の住宅
売却用住宅とは、売却を目的として空き家となっている住宅であり、新築・中古を問わず含まれます。
売却用の空き家は全体の3.6%を占めており、少数派です。
空き家の種類③二次的住宅
二次的住宅とは、週末や休暇などの特定の用途で使用され、普段は人が住んでいない別荘などが該当します。
この二次的住宅は、全空き家の4.3%を占めています。
空き家の種類④その他の住宅
その他の住宅とは、賃貸用、売却用、二次的住宅に該当しない空き家で、相続や入院などにより長期間人が住んでいない住宅や、取り壊し予定の住宅が含まれます。
空き家全体の42.8%を占めており、増加傾向にあることが特徴です。
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増え続ける空き家問題と国の対策
日本の空き家問題は年々深刻化しており、国はさまざまな対策を通じて、空き家の管理や利用促進、問題の解決に努めています。
続いて、現在実施されている主な対策について解説します。
国の対策①空き家対策特別措置法
平成26年に制定された「空き家等対策特別措置法」は、放置された空き家や土地、建物の適切な管理や処分を促進することを目的としています。
この法律により、地方自治体は以下の措置を講じることが可能となりました。
空き家の実態調査
地域内の空き家状況を把握し、管理状態を調べます。
特定空き家の指定
適切に管理されず、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす恐れのある空き家を「特定空き家」に指定します。
特定空き家の管理強化
指定された空き家の所有者に対し、助言や指導、勧告を行い、必要に応じて罰金を課すことができます。
行政代執行
危険度が高い場合、行政は空き家の管理や解体を直接代行する権限を持ちます。
特定空き家の基準には、「倒壊の危険性が高い」「衛生的に有害」「景観を損なう」「周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼす」などが含まれます。
特定空き家に指定されると、迅速な対応が求められ、対応を怠ると固定資産税の優遇措置が除外されるほか、罰金(最大50万円)が課される可能性もあるでしょう。
国の対策②相続登記の義務化
空き家問題の要因の一つに、相続された住宅の管理がおこなわれていない点があります。
従来、相続登記は任意であり、所有者不明の空き家が増加する一因となっていました。
しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続人は所有権を正式に登記し、管理責任を明確にすることが求められるようになります。
これにより、空き家が放置されるリスクが減少し、相続時には管理や活用方法(賃貸、売却など)をしっかり検討することが重要です。
この義務化により、所有者不明のまま放置され、「特定空き家」となるリスクが軽減されることが期待されています。
国の対策③除却支援・再生支援
多くの自治体では、空き家問題の解決を目的に、特定のエリアで住宅環境の改善や地域活性化を進めるため、除却(解体)や再生支援のための助成金制度を設けています。
これにより、適切に管理されていない空き家の解体や再利用が奨励され、地域の住環境や活力の維持に貢献しています。
たとえば、「空き家バンク」などの自治体と民間企業が連携し、空き家相談をおこなう窓口が設置され、空き家所有者が売却や賃貸の相談をしやすい仕組みが整えられているのが特徴です。
また、実家などの住宅を相続した後に耐震リフォームをおこなって売却する、または解体後に売却する場合、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けられる特例もあります。
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空き家に中でも放置リスクが高い「その他の住宅」の管理の重要性
空き家には、賃貸や売却用、二次的住宅目的などいくつかの種類がありますが、「その他の住宅」に分類される空き家は特に住む人が見つかりにくく、放置されるリスクが高い傾向にあります。
この「その他の住宅」を適切に管理せず放置すると、倒壊や治安悪化など、周囲に大きな影響を及ぼす可能性があるため、対策が必要です。
「その他の住宅」が増加する理由
「その他の住宅」の増加には、高齢化や相続などの要因が関係しています。
たとえば、高齢者が施設に入居し空き家となるケースや、相続した家が放置されるケースが多く見られます。
また、相続登記がおこなわれず、所有者不明の空き家が増加することも要因の一つです。
こうした空き家の増加により、さまざまな問題が発生しています。
空き家を放置することによるリスク
「その他の住宅」を放置することで生じるリスクには、以下のようなものがあります。
倒壊や火災の危険
老朽化した建物は倒壊や崩壊、外壁の落下などの危険があります。
また、放置された空き家は放火の標的にもなりやすく、空き家火災は全国で年間1,700件以上発生しています。
不法投棄や衛生問題
管理されていない空き家はごみの不法投棄が発生しやすく、衛生環境が悪化し、悪臭が周囲に広がる恐れもあります。
治安の悪化
人の出入りがない建物は不法侵入が発生しやすく、犯罪の温床となる可能性があります。
景観の悪化
手入れされない建物は外観が悪化し、地域の景観や住環境に悪影響を与えます。
また、「その他の住宅」が適切に管理されないまま「特定空き家」に指定されると、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されず、税金が最大で6倍になる可能性があるでしょう。
さらに、行政からの改善命令に従わない場合、罰金(最大50万円)や行政代執行による強制撤去、撤去費用の請求といったリスクが生じるため、放置は大きな負担を招く恐れがあります。
その他の住宅の適切な管理方法
「その他の住宅」を適切に管理することは、放置リスクを減らすために非常に重要です。
空き家管理サービスを活用する
遠方に住んでいたり多忙で管理が難しかったりする場合には、空き家管理サービスを活用するのも一つの方法です。
管理サービスを委託することで、定期的なメンテナンスや清掃を委託できるため、管理負担を軽減しながら空き家の状態を維持できます。
早期に売却する
今後利用予定がなく、放置するリスクを回避したい場合は、早期に売却することがおすすめです。
売却により現金化が可能となり、管理にかかる手間や費用を削減できます。
とくに、耐震リフォームを実施して売却する場合や、解体後に売却する場合には、譲渡所得から3,000万円の特別控除が適用されることもあります。
相続時に放置リスクを減らすための話し合いをする
空き家の多くは相続が原因で増加しており、親が住んでいた家を相続しても、管理や活用方法が明確でないために放置されることが少なくありません。
とくに、親から何も引き継ぎがないまま相続した場合、家を活用すべきか売却すべきか判断がつかず、空き家が放置される要因となります。
こうしたリスクを減らすためには、相続に関係する家族が事前に空き家の管理や処分方法について話し合っておくことが重要です。
話し合いを通じて空き家の扱いを明確にし、相続後に管理が滞らないように備えることで、空き家問題の発生を防ぐことができます。
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まとめ
日本の空き家は4種類に分類され、賃貸や売却、二次的住宅の目的があるものと、相続や入院などで住む人がいないその他の住宅に分かれます。
とくに「その他の住宅」は放置されやすく、倒壊、衛生悪化、治安の低下といったリスクがあり、国は法的措置や相続登記義務化、支援制度などで対策しています。
空き家所有者は適切な管理、売却を検討し、空き家問題の抑制に努めることが求められるでしょう。
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