空き家の管理や清掃で、見落としがちなポイントが「浄化槽の清掃」です。
清掃を怠ることで、空き家にさまざまな問題が生じ、悪臭が発生して近隣住民に迷惑をかけてしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、空き家の浄化槽を清掃する必要性や、その管理方法について、解説していきます。
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空き家の浄化槽を清掃しないと起こりうるトラブル
浄化槽は、家庭から出る汚れた水をきれいにして川などに放流する装置のことで、マンホールのような蓋が2枚または3枚ついています。
家庭から出る汚水には、トイレやお風呂、洗面台からの排水、炊事や洗濯時に出る水などが挙げられるでしょう。
一人あたり一日約200リットルの汚水が排出されると言われていますが、これをそのまま流すことは不衛生であり、自然環境にも悪影響を与えます。
しかし、浄化槽は微生物の働きを利用して汚れを分解し、きれいな水に変えて川などに放流する機能があります。
具体的には「ブロワー」と呼ばれる装置がついており、微生物に酸素を供給することで、汚れの分解が可能なのです。
浄化槽から悪臭が生じる5つの原因と対策
悪臭が発生するのは、主に3つの原因が考えられます。
これらの原因に対して適切な対策を講じることで、悪臭の発生を防ぐことができるでしょう。
まず一つ目の原因は、ブロワーを動かすモーターの故障です。
ブロワーには撹拌用の機器が設置されており、これが汚水を撹拌し、微生物の分解効果を高め、生活排水の浄化分解を促進しています。
しかし、モーター部分が経年劣化で故障することで、ブロワーが作動しなくなり、機能が低下して悪臭が発生します。
ブロワーは通常7年程度使用すると、動作不良を起こす可能性が高まるため、必要に応じて機器を交換することが大切です。
また、ブロワー本体の価格は1.2万円から2万円程度で、専門業者に交換を依頼する場合は5,000円程度の手数料がかかります。
二つ目の原因は、ブロワーの異常による微生物の減少です。
微生物は、ブロワーによる撹拌で酸素を補給し活発に活動します。
しかし、ブロワーが適切に動作しないと酸素の供給が減少し、微生物が減少してしまいます。
これらの微生物が減少してしまうことで、分解が十分に進まず、においを発生させてしまうのです。
しかし、最近では微生物を増やすバイオシーダー(浄化促進剤)が市販されています。
バイオシーダーは500gで2,000円程度で、適量を投入すると効果が期待できるでしょう。
三つ目の原因は、ブロワーの通電忘れです。
ブロワーは電気で24時間動作しますが、空き家の場合、電気の契約を停止したり、ブレーカーをオフにすることもあるでしょう。
しかし電気を停めてしまうことでブロワーが動作せず、微生物に必要な酸素の供給が減少してしまいます。
そのため、どうしても電気の契約を停止する場合は、水抜きと掃除をおこなうことで悪臭の発生を防ぐことができるでしょう。
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空き家の浄化槽を長期間使用しない場合
空き家では、浄化槽を長期間使用しないケースが多いです。
そのため、休止する場合は、空き家のある自治体に「休止届」または「休止報告書」を提出することが重要です。
この手続きをおこなえば、法定の点検や清掃義務が免除されます。
ただし、提出方法や書式は自治体によって異なります。
一般的には、空き家の所有者名、住所、種類(単独処理または合併処理)、休止期間、使用再開予定日、休止の理由、休止前の措置などが記入必須です。
詳細については、該当する自治体に確認するのをおすすめします。
休止届を提出する前には、必ず清掃と水抜きをおこないましょう。
清掃時には、蓋もチェックし、劣化が見られる場合は交換が必要です。
なぜなら、蓋が劣化すると、雨水が浸入で腐敗して悪臭を発生させる可能性があるからです。
また、短期間の空き家の場合は、電気契約を解除せず、浄化槽のブロワ用のブレーカーをオンのままにしておくと良いでしょう。
ブロワーを稼働させておけば悪臭の発生を防ぎ、維持管理コストも抑えられます。
さらに、半年に一度程度、水を補充すると、汚れの付着を防げます。
空き家が再び利用される際には、居住開始前に専門家による法定点検を受けることがおすすめです。
これにより、安全かつ快適に使用を再開できるでしょう。
法定義務
浄化槽には、国が定めた「浄化槽法」の法律が適用されます。
この法律では、空き家の持ち主に対しても一定の義務が課されています。
具体的には、各種装置の動作確認や調整、年1回の本体清掃、汚泥の引き抜き、消毒剤の補充などの義務です。
これらの義務を守らない場合、罰則が科せられる可能性があります。
また、家庭用の小型浄化槽に関しては、4か月に1回以上の点検が必要です。
この義務は、空き家であっても変わりません。
点検や清掃は、各自治体に登録されている点検登録業者に依頼することが一般的です。
建築時に設置したメーカーが、その後も点検を引き受ける場合もありますので、とくに新しい業者を探す必要がないケースも多いです。
法律で定められた保守点検や水質検査を怠った場合、都道府県知事や政令指定都市市長から改善命令や使用停止命令を受ける場合があります。
それでも従わない場合は、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、注意しましょう。
ただし、実際に罰せられるケースは少なく、何らかの実害(たとえば、汚水の排出や悪臭の発生)が発生した場合にのみ発覚するケースが多いです。
空き家の管理者としては、最低限の維持管理をおこない、悪臭が発生しないように努めるのが重要です。
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浄化槽の適切な維持管理
毎年1回、県が指定する検査機関による法定検査も「浄化槽法」によって義務付けられています。
この法定検査は、適正に動作しているかを確認するため、空き家であっても欠かしてはいけません。
ただし、定期的な点検や清掃をおこない、周辺に悪臭や不快感を与えないように配慮することで、通常は問題はありません。
清掃や点検は専門業者に依頼しておこないます。
自治体から業者の指定などはないため、費用やサービス内容を確認しながら、依頼する業者を選定しましょう。
また、点検登録業者がいる自治体もあります。
清掃・点検の内容と費用についても確認しましょう。
一般的な清掃・点検では、機能が正常か確認し、必要に応じて薬剤やバクテリアを投入します。
年に一度の清掃では、徹底的に清掃し、においの発生を防ぎます。
日々の点検や清掃にかかる費用は、正常に動作しているか確認するために薬剤やバクテリアを投入するなどの作業費です。
これらの業務は一般的に専門業者に依頼し、家庭用の浄化槽(5人槽~10人槽)で月に1回の点検費用は約5,000円、年に1回の清掃費用は30,000円~50,000円程度が一般的です。
業者は自治体から指定されないため、所有者が費用やサービス内容を考慮して選択することができます。
法定検査では、外観検査、水質検査、書類検査の3つが必要で、これらを通じて浄化槽の正常性を確認し、結果は自治体に報告しなければなりません。
法定検査も通常、専門業者に依頼しておこなわれ、費用は家庭用の浄化槽で1回あたり5,000円程度です。
放置すると、汚水が適切に処理されず、周囲の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
空き家の場合、毎年の費用負担が大きい場合は、休止届を提出するか、最低限の管理をおこない、悪臭の発生を防ぐための点検を続けることが推奨されます。
自治体の抜き打ち検査に備え、設置したことを把握されている場合は、特に注意する必要があるでしょう。
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まとめ
空き家の浄化槽の清掃や管理を怠ると、周囲の住民に迷惑がかかる可能性があります。
なぜなら、悪臭が発生したり、汚水が正しく処理されなかったりする場合があるからです。
なお、空き家の浄化槽を使用停止する前には、定期的な清掃と点検をおこなうことがおすすめです。
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